パショーネ

今日は久しぶりの商品のアップです。ミンクレイヤード、レイヤードミンクとどちらでも呼ばれています。レイヤードの意味は積み重ねるということですが、これが何故そう呼ばれているのかはわかりません。おそらく、生地の上に、細くカットしたミンクをミシンでたたきつけられていて、これが積み重ねるという意味になっているのかもしれません。

毛皮商品のなかでも、このレイヤードは特に最新のものではありませんが、一般的には、ニット等の少し厚みのあるものにたたきつけられたり、裏地やもっとしっかりした素材にたたきつけるものが多く、今回のサテンジョーゼットような超極薄の素材を使うことはありません。この薄い生地一枚で一重仕立ては端やアームホールの始末が難しく、なかなか綺麗に仕上がりません。それと、ニットのような厚みがあり伸び縮みするものであれば、誤魔化しが利きますが、薄手のサテンジョーゼットに、間隔を均等にしながらミンクテープをたたきつけ、さらに上にいくにしたがって少しずつ間隔を狭くするという日本人女性の繊細さに合わせた作りはパショーネ独自のものです。

一重仕立てなので端の始末や縫い代を裏側にも出せないので、とにかく繊細な作業が求められます。一般的にはレイヤードはライナー部分に使われたり、仮に表側に使われるにしても、もっと間隔を細かくして間隔のずれが目立ちにくくして使われています。生地がわずかに見えるようにして作るのが難しいのは、実際にやるとわかります。私達はＣＡＤを使ってラインを正確に決めてつくりますが、定規を使って適当にラインを決めるような作り方では、こうはなりません。とにかく、最後の最後まで、一度も気を抜くところがないのが、パショーネが作るミンクレイヤードです。　パショーネでしか絶対に作れないものがいくつかありますが、そのなかのひとつです。　　　長澤祐一